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毎日100人の人間が自殺している。
1998年以来、毎年、自殺者数は3万人を超え、今年で30万人を超える中核市の人口が消滅したことになる。
人間の生涯所得は、正社員でおおよそ3億円とされているが、この3万人の人々が生き抜いたとして仮定した所得(逸失利益)を推計すると、国立人口・社会保障問題研究所は、1998年から10年間で、22兆1200億円の生涯賃金所得が失われたと試算している。
わが国は平成時代に入ってから、バブル経済崩壊後の長引く不況、企業のリストラによる失業や若年者の引きこもりやニートの増大、競争社会やストレス社会の深化、非正規雇用労働者の派遣切り、長時間労働の常態化、様々な介護・離婚・暴力などの家庭問題、複雑な人間関係、凶悪事件の続発等、世の中全体に漂う閉塞感、不安感等から社会全体が鬱化し、「第二の敗戦」とも指摘されている。
自殺問題の本質は人間の生存の基盤である経済的基盤の崩壊に端を発している。
社会構造の歪みから派生する社会問題である。
失業率と自殺率に強い相関率があることを厚生労働省の統計は示している。
また、ある地方自治体は企業倒産件数と自殺率が強い相関があるとも報告している。
NPO自殺対策センター(代表清水康之)では、自殺の背景には
①労働問題②経済問題
③人間関係問題
④健康問題
の4つの危機が複雑に「連鎖」した結果と分析している。
具体的には、雇用問題、経営問題、連帯保証責務問題等をきっかっけとして、職場や家族との人間関係に不和が生じ、その結果、心身の健康のバランスを失し、その状態に何らかの動因が加わって自殺が引き起こされるとしている。
平成21年(2009)は、過去最高の自殺者を出すのではと心配されている。
人口10万人当たりの自殺者数は、ロシア(34人)日本(24人)仏(13人)独(13人)米(11人)伊(7人)英(7人)と、世界の中でも日本は突出し、米国の2倍、英国の3倍である。
戦後の高度経済成長期を経て経済大国と言われ、物質的に豊かな時代になってから、何故このような自殺大国になってしまったのか。
わが国では長い間、自殺は「個人」の問題として片付けられ、その原因や実態についても秘匿的、閉鎖的に扱われてきた。
しかし様々な調査分析からその背景には複雑な社会問題が絡んでいることがわかってきた。
柳田邦男は小泉構造改革路線で強調された政・官・業が癒着し、行き過ぎた市場原理主義と自殺は相関していると分析している。
国もようやく平成18年(2006)に「自殺対策基本法」を成立させ、平成21年(2009)から3年間で100億円の「地域自殺対策緊急対策強化基金」を拠出することになった。
しかしその対策は、自殺が4つの要因の「連鎖」の結果であるのに、相変わらずの縦割りで、とても包括的対策として機能するとは思えない。
そこで提案がある。
自殺要因の「連鎖性」に着目して、
①雇用労働
②経済融資
③人間関係
④心身健康問題
を扱う4つのすべての機関に、「自殺予防相談部門」を新たに設置してはどうか。
自殺者の75%が、事前に何らかの機関に相談をしているが、それら機関同士の相互の包括的な連携がないために、この「連鎖性」に的確に対応しきれていない実情がある。
このため「法」と「基金」は包括的な介入機能を図るシステムを構築する必要がある。
とりわけ、国、地方自治体はソーシャルワーク機能を社会の統合を高める専門技術という側面を再評価し直すことが重要である。
このため、ソーシャルワーク専門職を、「連鎖性」を断ち切る各雇用、経済融資、各種相談、保健医療の4つの領域に任用、配置する具体的な対策を講じる必要がある。
これまでに個人に焦点を置いた電話相談に大きな成果をあげている静岡の「いのちの電話」などのすぐれた民間の相談活動をはじめ、社会環境の変革や包括的な相談・権利擁護・ネットワーク機能を展開しつつある保健・医療・福祉・教育・司法等におけるソーシャルワーク活動などを連結することが急務である。
ソーシャルワークは人間の生きる力を支援する専門技術だ。
自殺、虐待、DV、高齢者、障害者の犯罪などに通低する共通点は絶対的、相対的な貧困問題である。
OECDに指摘された世界のワースト国であるわが国の貧困の本格的な解決の行方が自殺予防・解消に直結し、国、自治体のソーシャルワークを活かす政策の導入は極めて重要であることを提案したい。

2009年10月号 日本ソーシャルワーカー協会会報 第63号
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2009.11.08 Sun l 社会福祉はこれでいいのか l コメント (0) トラックバック (0) l top
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