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今、社会福祉法人には、国民から二つの大きな期待が寄せられている。
法制度に基づく質的に高い福祉サービスの提供と、法制度外の福祉ニーズへの積極的な対応である。
現在、わが国には増大する失業率、ワーキングプアの若者と貧困な高齢者の増加、年間3万人を超える自殺者、さらには42万人の介護難民の存在、地域で多発する障害者虐待、児童虐待、DVなど、生活の孤立化に伴う孤独死や施設での焼死事件の増加など、毎日、マスコミを賑わしている。
これらの増大する福祉ニーズに社会福祉法人は何をなすべきか。
今、社会福祉法人数は1万8千を超え、施設は約10万ヶ所、定員は330万人、従事者は約80万人に達している。
施設は平均すると1市町に57ヶ所が配置され、国民の3.5人に1人が毎日これらの施設を利用している。
地域の福祉ニーズに最も身近な機関が社会福祉法人なのである。
社会福祉法人の歴史の背景には、石井十次に象徴される先人達の先駆的、開拓的な法定外ニーズに対する実践がある。
この実績から行政での対応が困難な福祉課題に対応するため、特別公益法人として社会福祉法人が生まれたのである。
憲法89条の「公の支配」のもとで、民間に公費が助成される意味は、実績が「公」と認定される限りと再認識すべきである。
現代の社会福祉は、福祉原理と市場原理のハイブリット原理に支えられ、「官・民・共・私」の四者によって福祉サービスが担われることになった。
そこで求められる価値は「公益」であり、「官・民・協・私」のための「益」ではない。
市場原理の導入による規制緩和は貧困ビジネスを生み出すなどの弊害も多発しているが、四者の目指す価値は「公」なのである。
そこで行政と社会福祉法人の両者に提案したい。
まず、行政には、国、地方自治体は、社会福祉法人が本格的な「公共性」を発揮できるように、制度外ニーズに柔軟に対応できる財源保障を提案したい。
第二に社会福祉法人の事業支出には、地域の団体育成やNPO法人の創設、国際的な福祉活動等々に対し、資金や人的な支援等の幅広い用途を認めるべきである。
第三に「公共性」の実現は、ヒトによってのみ担保されうるものであり、福祉専門職の任用と育成に関する抜本的な見直しが必要である。
例えば、福祉専門職の雇用を常勤換算という非正規雇用システムに変え、「公共性」の担い手を解体した事実の見直しである。
この流れは一方では、有為な介護人材の深刻な不足を招き、他方ではリストラされた労働者を安易に介護人材に向けるなど福祉労働力政策の貧しさを端的に示している。
法務省が福祉専門職を家政婦や掃除夫と同職種に見なし、外国籍者が社会福祉士・介護福祉士を取得しても就労できない仕組みも同根である。
日本の大学にアジア各国から社会福祉を学ぶ学生が増加している今日、速やかな改正が望まれる。 社会福祉法人に対しては、法定制度・制度外の福祉ニーズに対し、地域を支えるソーシャルケアの総合的な拠点の役割を期待したい。
第一には、経営理念を「公共性」の実現を基本とし、ケア憲章(倫理綱領)を、国、地方自治体、法人、福祉専門職で共有するシステムを提案したい。
第二に法人の経営・運営に職員の参加を図り、国家資格者を計画的に任用し、キャリアアップシステムを創り、職員が公共性の実現を第一義とするような人材の養成環境の整備を期待したい。
また、社会福祉法人の特別公益法人の性格から世襲制は避けるべきである。
第三に住民・当事者・地方自治体と協働するシステムを創り、細やかな情報公開と地域に住民や当事者参加の第三者評価機関の常設化も重要である。
行政と社会福祉法人の対等な関係の協働作業から、日本の社会福祉法人を世界やアジアのモデルとなる機能集団として育てることを期待したい。

2010年04月号 日本ソーシャルワーカー協会会報 第66号
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2010.04.26 Mon l 社会福祉はこれでいいのか l コメント (0) トラックバック (0) l top
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