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学生の福祉離れはどこから始まったか、誤解を恐れずいえば、それは介護保険報酬の見直しや「障害者自立支援法」から始まったといえるだろう。
森田実氏(政治評論家)が08年発行の「脱アメリカで日本は必ず甦る」という本のなかで「障害者自立支援法」について触れている。
2008年からの世界経済の混乱と日本経済の厳しさのなかで日本国民の生活水準の低下と福祉の崩壊、格差拡大は小泉構造改革が直接の原因であり、その典型を「障害者自立支援法」に見ている。
「障害者自立支援法」の制定はその苛酷さと欺瞞性において特筆すべきで、その「自立支援」の美名とは逆のきわめて非人道的な法であると糾弾している。
実際に千葉県のS学園(入所施設)を例にして、障害程度区分によって地域生活の基盤がない中で仲間たちが見知らぬ土地に追い出され、知的障碍ゆえに近所の人たちから白い目で見られ、さらに賃金よりも高い負担金を負わされている、これは「弱者の切り捨て」だと指摘している。
師康晴氏(社会福祉法人杜の会理事長)は自著の「出会えてよかった」(06年)-絶対的差別の解消-の中で、この法律の問題点を、
その第1は福祉サービスを利用することを応益と称し、利用者に1割負担を課して障碍者が社会のなかで当たり前に働き、暮らし、遊ぶ世界を狭めた。
第2に事業者への支払い方法の月額制から日額制への変更は事業所の収入を減少させ、結果として職員雇用に深刻な事態をもたらした。
第3に障碍程度区分に介護保険の認定基準を7割も導入したことで身体障害機能が高く出て、知的障碍の人たちの事業所は総じて軽い結果となり、事業所収入の激減により福祉を志す若者は減ったと指摘している。
それでなくとも福祉関係の給与水準は低く、更に総収入が下がるのであるから福祉を目指す学生が減ってくることは容易に予測されるとも述べている。
国の福祉抑制策は介護保険報酬の見直しや「障害者自立支援法」に典型化され、以後、福祉系大学の卒業生であっても福祉以外に就労する学生が目立つようになり、養成校に高校生が進学しない状況が生まれていった。
各養成校とも定員充足率が低下し、学科の再編をもとより、180余校のうち7校に1校は経営が困難になると関係者の間でささやかれている。
かつて措置制度から支援費制度に変わったとき、施設訓練支援費の他にグループホームやガイドヘルプなど地域生活支援費が制度化されたことは高く評価された。
ある法人の理事長は、自分の施設の例で、ガイドヘルプ事業は05年度までの支援費のときは年収が6,000万円であった。
正規職員は6名、ヘルパーを40人ほど抱える事業所であり、多動など重い人たちもガイドヘルプを使って街の中で活動できた。
しかし06年度の「障害者自立支援法」制定後は単価が急落し、年収が2,400万円になってしまった。
やむなく職員を減らし、対応の難しい人は受けられなくなってしまった。
この法律は外に出ることが必要な人たちを在宅にして「引きこもり」にしたと語っている。
今、早急に改善されるべきは、障碍者から自己負担金を徴収しないこと、事業所収入は月額制に戻すこと、知的障碍程度区分は支援の必要性に応じた仕組みにすることなどである。
今年度は、衆議院選挙の年、障碍者をはじめ子どもや認知症など最も傷つきやすい人々にとって社会保障・社会福祉システムのこれからのあり方が最も論議されるべき年である。
この国がこれらの人々が生きやすい国づくりを目指しているか、福祉を目指す学生や職員が誇りを持って働き、夢がもてる社会を目指しているかどうか、最も問われる年である。

2009年6月号 日本ソーシャルワーカー協会会報 第61号
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2009.09.15 Tue l 社会福祉はこれでいいのか l コメント (0) トラックバック (0) l top

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