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長きにわたり主柱的存在として日本ソーシャルワーカー協会を主導されてきた仲村優一元会長は、自己紹介するときには「私はソーシャルワーカーの誰々です」とまず名乗り、その後で各自が所属する職場なり組織名を述べることを提唱されていた。
そこには常にわれわれはソーシャルワーカーであることの自覚と戒め、さらに矜持をもつべきだとの深い思いがこめられていた。
ソーシャルワーカーはさまざまな場で支援活動を展開しており、所属や職種、職階も多岐にわたっている。
実践現場で活動している人もいれば、ソーシャルワーカーを養成する教員の多くもまたソーシャルワーカーとして活動している。
それぞれの専門分野で定められた資格を有する人もいれば、資格はなくとも業務を通じて範となるべきソーシャルワーカーもいる。
しかしながら支援活動をする際に所属や職種を伝えるワーカーはいてもソーシャルワーカーと名乗る人は殆どいないように思う。
それがまた多くの市民にソーシャルワーカーの存在や名称が膾炙されない所以かもしれない。
専門分野が細分化されるに従い、ソーシャルワーカーとして分野を超えた共通基盤や認識が薄れてきたのかもしれない。
ソーシャルワーカーの専門性は
「知識(理論・制度)」
「技術(ソーシャルワーク)」
「価値(倫理・人間の尊厳)」
の練磨にあり、それらを学ぶ機会や場も多くあるが、近年では各自が所属する専門分野以外の学会、講演会、研修会等には参加者も少なく関心を示さない傾向にある。
しかしながら専門分野ごとに特有な視点や手法はあっても分野や職能団体の枠を超えて共に認識を深め、学ばねばならない共通基盤としての課題があるはずである。
それはソーシャルワーカーとして最も基本である実践行動上の基本指針と戒めを問う倫理であり価値でなかろうか。
アメリカでも、代表的な専門職とされる医師や弁護士と比べ、社会福祉職は専門教育期間が短く、生命、人権への関わりが浅く、倫理綱領が明白でないなどの理由で、専門職として疑わしいとの議論があり、フレックスナーとか、ケースワークの母として著名なM.リッチモンドもそういった指摘をし、専門職であるための提唱もしていた。
そこで1973年の全米ソーシャルワーカー協会が初めて社会福祉専門職の倫理綱領を採択し、現在では10 万人規模のソーシャルワーカーが専門分野を超えて繋がっている。
1975年にはイギリスのソーシャルワーカー協会の総会で倫理綱領を採択し、国際ソーシャルワーカー協会(IFSW)が1976年に倫理綱領を採択したという歴史がある。
ところが、日本には社会福祉職に共通した倫理綱領が無く、度々の要請にも拘らず当時の厚生省は、倫理綱領を保持していないということで社会福祉専門職の国家資格をためらった。
ところが、日本で開催された国際社会福祉会議が社会福祉専門職制度促進の契機ともなったが、1986年にわが協会が「ソーシャルワーカーの倫理綱領」を策定したことにより、翌1987年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定され10年後の精神保健福祉士の誕生に寄与したことは周知の事実である。
また2002年には福祉4団体共通の倫理綱領の検討を開始し成果も挙げてきた。
専門分野を超えたソーシャルワーカーの架橋的繋がりを基とするわが協会は、これまでもソーシャルワーカーの倫理に重きを置き倫理委員会でも盛んに議論され刊行物も上梓してきた。
市場原理、競争原理が導入され、ややもすると営利性が先立つ福祉現場やその管理者・経営者、また議論が始まった市民ソーシャルワーカーの養成、そして「私はソーシャルワーカーの誰々です」と名乗り、それを誇りにするためにも、ソーシャルワーカーの価値・倫理を問い続けることに日本ソーシャルワーカー協会存立の原初的意義があると認識している。

2011年10号 日本ソーシャルワーカー協会会報 第75号
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2012.01.19 Thu l その他の提言 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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